日々紬

なんでもない日常を物語に。

長編執筆を楽しめるようになった話

 

こんにちは、紬こと世原久子です。

 

久しぶりの投稿の上に、名前が二つあってややこしいですね。

昨年ブックショートアワードで優秀賞をいただいた(とても嬉しい)のですが、その際の筆名を短編以上の作品では使うようになりました。どちらの名前にも愛着があるので、何と呼んでくださってもかまいません。

bookshorts.jp

 

さて、今回は長編執筆にまつわるお話です。

エントリのどれか、もしくはTwitterで書いたことがあるかもしれませんが、私は断続的とはいえ10年以上執筆をしているくせに、長編が書けない/書くのが辛いというタイプの書き手でした。5,000文字で息切れ、10,000文字いけたら奇跡みたいな感覚。

短編や140文字小説にも楽しさ、やりがいはあって、それを突き詰めればいっか! 無理なもんは無理だよね! と考えていたのですが、やっぱり長いのも書いてみたいなぁとひっそり思っていたのは事実でした。どれが上、とかではなく、なんでも書けた方が楽しいよね的なノリです。

そこから自分なりの努力や悪戦苦闘、定期的に心が折れるなど荒波を乗り越え、なんやかんや60,000字越えの執筆ができるようになりました。その中でなんと「これは……楽しい……?!」と思える瞬間すらでてきたのです。巧拙はともかく。

※基準はいろいろあると思いますが、40,000文字以上を長編、5,000文字以上を短編と捉えています。

 

まず、最初に変化を感じたのは140字小説の毎日投稿を始めてだいぶ経ったころ。具体的にどれくらいかはさすがに覚えていないのですが、1年以上だったことは確かです。

昔よりは語彙力が上がったのか、構成の組み立てに頭が慣れ始めたのかはわからないのですが、以前より短編小説を書くことが大変ではなくなってきました。

三浦しをんさんの『マナーはいらない 小説の書き方講座』を読んで基礎的なことを振り返ったり、気づきもしなかった視点を勉強しながら、140字小説コンテスト 一月の星々と前述したブックアワードに応募しました。

そしたら、なんと前者は佳作、後者は優秀賞。

note.com

 

わ~~~と思いました。

さっそく語彙力を失っていますが、もう本当に嬉しかったんです。自分が一番好きな物書きの領域で客観的な評価をいただけたことに、泣きそうな勢いで感動しました。拙い表現ですが、生きる希望みたいなものが少し強くなったほどに。

 

そこから「もしかしたら長編も書けるのでは?」と少し調子に乗った私。短編執筆時のあれこれを思い出しながら、長編のアイディア出しと構成に取り組み始めます。

とはいえ、きちんと長編を書くのはほぼ初めて。あまり無茶なことを自分に課すと早々に挫折してしまいそうな予感があり「書けるものを書く」というシンプルな目標を大切にすることにしました。

そしてある程度の構成を考えたところで、執筆に着手します。あまり設定は詰めすぎず、書きながらでしか生まれないものがありそうだと感じていたので、ざーっと書き進めました。

これは半分成功、半分失敗という感じでした。成功というのはこのノリでいったからこそ、きちんと最後まで書き上げられたこと。失敗は書き上げたあとの修正が大変だったこと……!

 

短編ではそれほど手間じゃなかったのでうっかりしていたのですが、長編だと少しの修正が全体の方向性に影響することを知ったり、連動して変えないといけないところを見落としてあとから焦ったり……。なにより全編のバランスをとるために読み返すだけで、とても時間をとられます……。(グチ)

 

でもまぁ、こういうのが楽しかったりもするんですけどね。そんなこんなで「長編ってやっぱり大変だ……」と思いつつ、同時に面白さや醍醐味のようなものにも気づく瞬間が増えていきました。

たとえば、手直ししていくうちにキャラクターが設定を踏み越えるような言動をして「こいつ、こんな人間だったのか」と驚いたとき。

たとえば、とあるシーンを掘り下げる中で、これまで知らなかった自分の思考や価値観に気がついたとき。

たとえば、なんてことない描写を書き込んでいく過程で、ふと救われたとき。

 

こういうのってストーリー次第では短編でも感じることなのかな? と疑問も湧いたんですが、長編だからこそ向き合う必要のある物語の重量やキャラクターの描写を通して生まれたように感じています。このあたりは人それぞれだろうし、きちんと言語化するのは自分でもまだ難しいのですが「やばい、これはクセになりそう……」と思う瞬間がいくつかありました。(なんか危ない発言ですね)

 

もちろんまだまだ拙いところばかりで、読み返すたびに「うわーっ、下手過ぎるー!」と叫びたくなることもしばしばです。

けれど、きっと書けば書くほど新しい視野をもらえる、そして自分なりには上手くなっていく(はず)とポジティブな予感もあります。どこかのタイミングで長編に客観的な評価をもらえたらそれはとてつもなく嬉しいけれど、自分の中で大切にできる軸が増えたということ自体が幸せで、なんだかこれからいろいろ楽しみです。

 

また、なにか知らないものを知ることができた時、ぜひご報告させてください。

読んでいただき、ありがとうございました。 

140字小説を毎日投稿しはじめてから2年経ちました報告。

こんばんは、紬です。

 

ブログを書くのは久しぶりとなりました。

皆様、お元気でしょうか。

 

この度、Twitterで140字小説を毎日投稿し始めてから2年経ちました。

twitter.com

わー!

飽きっぽい私がよくやったなあ、という非常に感慨深い気持ちです。

たまには自分で自分を褒めたい。たまには。

ということで、この2年で何があったか、どんなことを考えたか、メモがわりに記しておきます。

あと最後にちょっとご報告もあります。よろしければお付き合いください。

 

■まさかすぎる:二つ賞をいただく。

長く書いているといいこともあるもので、なんと二つも賞をいただきました。

 

一つ目は、ブックショートアワードの2020年12月度優秀賞

bookshorts.jp

原久子の筆名で参加。もともと長い小説を書けないのが悩みだったんですが、140字小説を書き続けているうちに「短編なら書けるかも……⁈」と思い立ち、短編小説のアワードに応募しました。

月ごとの優秀賞から大賞が選ばれるようで、候補作として残していただいているようです。どきどき。


二つ目は、140字小説コンテスト、#1月の星々 佳作

hoshi-boshi.jimdofree.com

こちらのコンテストは本アカウントで参加。こちらの投稿を選んでいただいています。

言葉選びとそれらの繋ぎ方、収束を意識しながらとても楽しく書いたもので、ほしおさなえさんから選評までいただけて、光栄が身に余りました。

 

二つとも、率直にとても嬉しかったです。

はしゃぎすぎてフォロワーの皆様にはお目汚ししてしまったかもしれません。ごめんなさい。

書きたいことを好きなように描くがモットーですが、客観的な評価を頂けたことは励みになりました。

それもこれも、いつも見守ってくださっているTwitterの皆様のおかげだと思っています。

本当に、一人ではここまで来られなかった。ありがとうございます。


■2年間続けた、率直な感想

なんのひねりもない感想ですが、

楽しかったし、大変だった。

これにつきます。

 

自分でも納得のいくものが書けて、皆様から反応があるとどうしようもなく嬉しいし、

仕事や生活が大変すぎて気持ちの余裕がない時は、ひいひい言いながら書いてました。

(ただ、そういう時の方がたくさんの方からリアクションを頂けたりもする)

 

書きだめはせず、毎日書くようにしていたので、

旅行中、全然時間がとれなくてトイレで書いたこともありました。(うう、ごめんなさい)

しんどいことが重なって五感が鈍っていた時はそれをそのまま題材にしたこともあります。

逆にパッと鮮やかな言葉が降りてきて、これだ! とするする書き上げる日もありました。

 

なにやら人生そのものみたいですね。笑

振り返ってみても、140字小説と一緒に歩んできたなあと実感しております。しみじみ。

 

■筆名、変えます。

最後に。

ささやかなご報告ですが、筆名を世原久子に統一しようと思います。

理由は

  • 複数あるとややこしいから
  • #1月の星々コンテストの時に思った。名前に「_1日1話」とかついてると主催者側は扱いづらそうだなと。

というざっくりしたものです。

当面ややこしいかもしれませんが、筆名以外は変えないので、

あーあいつか、と思い出していただけると嬉しいです。

 

はてはて、いつまで毎日続けられるのか、

それは神のみぞ知ると思ってはおりますが、できる限り頑張ります。

素敵な体験と出会いがたくさんあったので。

どうぞこれからもゆるゆるお付き合いいただけると嬉しいです。

 

紬あらため世原久子

【インタビューVol.7】aonagiさん、あなたの書く理由を教えてください。

 おひさしぶりです、紬です。

 

   仕事でばたばたしており少し間があいてしまいましたが、書き手さんのインタビューをお届けします。縁起の良い7人目。

 ここまで続くのも、受けていただく書き手さん、読んでいただいている皆様のおかげです。ありがとうございます。(深々)

 

 ひさしぶりにインタビューに答えてくださったのは……

 第6弾のaonagiさん。

 Twitter・noteで小説を発表されています。

note.com

 軽やかな文体で粛々と日常を描きながら、ときおりなにか深いところに潜っていくような、わたしの大好きな温度感で作品を描かれる方です。 

 

 今回もぶしつけなお願いにも関わらず、丁寧にインタビューに答えてくださいました。

 どうぞお読みください。

 

*創作を始めたきっかけはなんですか?

 小さい時からなにかをつくったり、誰に見せることもなく架空の日記を書いてたりしてたので、きっかけというのは凄く難しいですね。笑 

 10歳の時には夢に作家と書いていたのでそれより前であることは確実ですが、あまり友達がいなかったので孤独を満たす何かが創作にはあって、それを得ようとして始めたのかもしれません。

 

*インターネットで創作を始めたきっかけはなんですか?

 やっぱ誰かに見て欲しかったんです。もうそれだけです。笑

 

*創作するうえで心がけていることはなんですか?

‐aongaiさんの軽やかな文体と、淡々と日常を描きつつ読ませる筆力に心底憧れています。『ce que?』はどのお話もするする読んでしまいました。描く際になにか意識していることがあれば教えてほしいです(紬) 

 そんな風に仰っていただいて光栄です。基本的にあまりルールとかは作らないようにしてます。とりあえず書きたいものを書いてみる、下手でも書いてみる。あと、愛せるキャラクターにする。とかですね。 

 

*どんなときに「楽しい」「書いてて良かった」または「つらい」「もう書くのやめたい」と思いますか?/書くのをやめたくなったことがある場合、どんなふうに気持ちを立て直しますか?

 楽しいと思う時は書いてる最中ですかねぇ。書いてる時は苦労してても楽しいですね、辛くても書けば確実に登場人物は動いてくれますし。つらいとか書くのやめたいって思ったことはないです。 

 

*ずばり、この一作には自信がある/我ながら好きという自作を教えてください。

 自信がある、というのは全部なんですけどね。笑

 その中で選ぶとなると、僕つい最近までnoteをしてたんですけど、その時に氷を擬人化させてその恋愛を描いたことがあって、あれは評判も良かったですしすごく自信がありましたね。

 一度自分の中で作品を整理するためにnoteのアカウントを削除したんですけど、これからまた新しいアカウントを作るので、その際はどれも氷の作品と同じくらい素敵なものを作れるといいなと思います。

 

*最近のおすすめ作品を教えてください(小説から映画まで、なんでもOK)

 最近だとグレイスペイリーという作家ですね。村上春樹氏の訳で短編集が3冊出版されたんですけど、どれもかなり面白いです。とにかく文体が独特で、難しいんですよ。笑 でもその中にれっきとした彼女の明確なメッセージだったり、一方で瑞々しくて鮮やかな表現だったりが散りばめられていて好きです。

 映画はあまり明るくないですが、是枝監督の作品はほとんど全部見てます。その中でも『海街diary』は大好きですね。淡くて生活感が満載なのに、ちゃんとメッセージが伝わってくるので、参考になる部分もたくさんあります。

 やっぱり僕も大それたことじゃなくて、人間の日常を淡く使って創作したいと考えているので、土俵は違ってもあんな作品を作りたいなぁと思ってしまいます。凄いです。

 

<ご回答、ありがとうございました!>

*僭越ながらの紬メモ

・「架空の日記」というものがどんな日記なのかとても気になります。笑

・「だれかに見てほしかった」、本当によくわかります……!

・「書いてる時は苦労してても楽しい」、とてもすてきな言葉だなと感じ入りました。わたしは書いているときはいつも辛いので……。笑

・noteを新しくされたんですね! 過去作もとても好きだったので、新作品も楽しみにしています。

・『海街diary』はわたしも大好きです。生活を描きながらしっかりとメッセージが伝わってくる、そんな作品に憧れます。

【インタビューVol.6】犬塚我区さん、あなたの書く理由を教えてください。

 こんばんは、紬です。

 

 今回も書き手さんのインタビューをお届けします。ついに6人目……! 

 ここまで続くのも、受けていただく書き手さん、読んでいただいている皆様のおかげです。

 

 ふとした思いつきで始まったこの企画、形式としてはTwitterのDMでまとめて質問をお送りしてるのですが、だんだん「リアルタイムでやってみたい……回答を深掘りしたい……」という欲がでてきました。

 

 さすがにリアルタイムはお相手に申し訳ないので、今回は2段階制。最初にいただいた回答のなかで気になったものをさらに深掘りするというやり方をしてみました。

 

 そんな手間のかかるやり方を引き受けてくださったのは……

 第6弾の犬塚我区さん。

 Twitter・エブリスタで小説を発表されています。

estar.jp

 幻想的で、時には畏怖の念を抱いてしまうような、奥深いところできらりと光る言葉選びをされていて、わたしの目指す世界観を描かれる方です。

 

 また、前回の伊東鮭さんのインタビューでご提案いただいた「創作を始めたきっかけ」もデフォルトの質問に組み込ませていただきました。 ありがとうございます。

 

 今回もぶしつけなお願いにも関わらず、丁寧にインタビューに答えてくださいました。

 どうぞお読みください。

 

*創作を始めたきっかけはなんですか?

 二つありまして。

 一つ目は、まだ書き手と言うより、描いていた学生時代です。中学の授業で自分オリジナル作文を書こう!というのがあったんです。他生徒は取り組もうとしない中、唯一書ききったのが私だけ。

 それを先生が「貴女は絵も描けるから表紙を付けましょう」と最終的に綺麗に綴じて下さいまして。それが凄く心に刻まれて!思えばあれが人生で初めての創作でした。(現在も大切にとってあります)
 二つ目は、それから数年後の旅先にて。頭の中であたためていた鉱物を食べる御話を、突然、書きたくて堪らなくなってしまいまして。その頃は鉱物蒐集にハマっていたんです。旅行先で真夜中だと言うのに、書きたい文章が溢れて止まらないから、兎に角打ち込みました。(笑)
 根底の、始めたきっかけは一つ目ですが、創作的なきっかけは二つ目ですね。

 ‐中学生のころのエピソード、とてもすてきですね! 心に刻まれた1番の理由って、じぶんの作品ができたことへの感動だったのでしょうか?(紬)

 それも勿論ありますね!感動やら達成感やらが、無い混ぜになった気持ち。でも実はこの中学の自分はそう感じてなくて。(苦笑) 「何か出来た、おお……」くらいの気持ちなんです。(笑) 

 数年後、創作を始めて暫く経ってから、ふと思い出すそんな時。文章を打ち込んでる時、とか。「嗚呼、私の原点はあすこだったんだナア」って改めて書いた学生の自分や、その出来た作品や、導いて下さった先生に、しみじみ感じ入るんです。

 実はその先生にもう一度会って「あの時、先生の授業のおかげで書いてます!」ってお礼やお話をしたいのですが、なにぶん先生は当時、新任の女性国語教師。名前は覚えているものの、ご結婚されて苗字も変わったかもしれませんし、今も先生を続けているかすら解りません。

 先生ー、読んでますかー!?

 

*インターネットで創作を始めたきっかけはなんですか?

 今ではもう無いアカウントなのですが、そこで前述に記載した、鉱物を食べる御話をUPして、Twitterのフォロワーの皆様が「続きが読みたい!」と仰って下さったからです。

 その当時、私は完全に見る・読む専門だったので感想も頂けて、嬉しいやら吃驚するやらで、あたふた。そこから徐々に手探りで始めました。

twnovel」や「140字小説」等のタグを見つけた時は、頭に電球が点りましたよ〜(笑)
 

*創作するうえで心がけていることはなんですか?

‐犬塚さんの幻想的で少しさみしいような、畏怖してしまうような世界観がとても好きです。なにか意識していることがあれば教えてほしいです(紬) 

 ありがとうございます。(照) 

 実は私は、下書き無しの一発書きがほぼ全てに共通する事柄なのですが(これを私の中では「短期決戦型」と言っています。笑)スマホに打ち込む際、私の中のパラボラアンテナ、感受性みたいな部分で「この時自分ならどうするか?」を最大限感じ取ります。その瞬間や、書く時の空気感を大事にしていますね。

 そして私自身、作品や呟きを読み返すと「何故こんな良い文章が書けたのだ?」と不思議に思う事が多々ありまして!(汗) 

 完全にその時の自分が「書いた」んですよね。感じ取ったその瞬間、削りたての鉛筆の芯、みたいな感じなんです。普段は丸い芯で「こんなん書けない!」ってなってると言うか。
 それを踏まえると意識している事は、書いて来た作品毎に違うのかもしれません。

 

 -パラボラアンテナもしくは感受性と表現されていますが、そのアンテナはどんなふうに培われてきてのか(もしくは自然と身についたのか)お聞きしたいです。(紬)

  これは忌々しくも、自前ですね。

 このパラボラアンテナのせいで学生時代は大変苦労しました。(苦笑) 電波受信(感受性)が敏感になり過ぎて、感動や気持ちの揺れで、唐突に泣くんです。(汗) 歌やTV、映画に漫画。嬉しくても、兎に角それが涙となって溢れてましたね。

 最近の年齢になって受信感度が落ち着き、やっとアンテナとの付き合い方が解って来ました。

 

*どんなときに「楽しい」「書いてて良かった」または「つらい」「もう書くのやめたい」と思いますか? 

 これはもう、読者様やフォロワー様からファボやRTを貰った時ですね!(勿論、リプライや感想も!)単純な奴でして、そうすると凄まじいくらいやる気に繋がるんです。(笑)嬉しい!よし書くぞ!って笑 

 趣味で写真も撮るのですが、良い写真って、何百枚も撮って、一枚でもあったら本当に幸運なんです。その一枚は明らかに誰が見ても「良い」んですよ。

 書いていて、偶然にもそんな作品になって、それでもまだ書いている時は、もう楽しくて仕方がないですね。 

 

*書くのをやめたくなったことがある場合、どんなふうに気持ちを立て直しますか?

 書く事はやめないだろうけど今は書けないナア、って時がかなり多いです。(苦笑)  

 映画『魔女の宅急便』で後半、画家さんがスランプになった時どうするかと言うのを喋るシーンがあるのですが、正にその通りでした。

「描くのをやめて何もしない」「その内また描きたくなって来るんだよ」

 幼い頃まるで解らなかったその意味を、身をもって今体感しています。楽観的かもしれませんが「また書きたくなる」まで、ゆるっと過ごしますね。本当に不思議なんですが必ず「なって」来るんです。(笑) それまではお休み、完全休業!と思って、書く事以外をやっています。

 家事や掃除、漫画や小説を読んだり。アウトプット(書く)とインプット(休む)を巧く使い分けて、立て直しますね。

 

*ずばり、この一作には自信がある/我ながら好きという自作を教えてください。

 特筆してこの一作!と言うのが、私にはなくて。(汗) 

 自信がない訳ではないし、好きじゃない訳ではない。多分、私は今までずっと書いて来たツイノベや呟きが、平たくみんな好きで、ちょっとそれぞれ自信がある、みたいな感じなんだと思います。

 ひっそり、私がTwitterで呟いたりした140字小説やらを、2018年6月から今まで全てを、日記アプリに全部保存して書き留めているのですが、今回改めて読み返しまして、どこかに掲載すべきなのだろうか? と悩んでいます。(苦笑)

 

*最近のおすすめ作品を教えてください(小説から映画まで、なんでもOK)

 当初、レンタルで観たのですが『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』でしょうか。

 アメリカを代表する絵本作家・生誕100年記念の、ライフスタイルに迫るドキュメンタリー映画です。(※字幕のみ)

 ターシャの生き方だけでなく、心の持ちようが本当に素晴らしく、遂にBlu-rayを購入してしまいました。静かに優しくなりたい時、美しく澄んだ何かを書きたい時。いつも時間を忘れてゆったり観てしまいます。

 

<ご回答、ありがとうございました!>

 

*僭越ながらの紬メモ

・今の自分を生み出してくれた方の回想と呼びかけ、とてもインタビューっぽくていいですね……すてきなエピソードとともに、ありがとうございます。

・「鉱物を食べる御話」、めちゃめちゃ読んでみたいです。わたしの趣味にどはまりしています。

・豊かなパラボラアンテナ、うらやましいかぎりです。ただご本人にとっては「忌々しい」とおっしゃっているように大変なことなんだろうなあ……。

・このインタビューの回答で共通しているのが「リアクションをもらえた時がいちばん嬉しい」という点、とても幸せな気持ちです。(笑)

・全作品、日記アプリに保存されてるんですね! すごい。いつか大放出してほしいです……と勝手に願っています。

ターシャ・テューダーさん、すてきですよねえ。「静かに優しくなりたい時」という表現にもうっとりしました。

【インタビューVol.5】伊東鮭さん、あなたの書く理由を教えてください。

こんばんは、紬です。

 

今回も書き手さんのインタビューをお届けします。

 いよいよ五人目!

 

ふとした思いつきで始まったにもかかわらず、みなさん丁寧に答えていただいているのですが、今回はそのなかでも読み応えたっぷり、とてもボリュームのある内容になっております。

 

第5弾、伊東鮭さん。

Twitterで小説を発表されています。

140字という短い文字数であざやかな起承転結を描く、ストーリーテラーだ! と私が(一方的に)あこがれている方です。あと、ヘッダーの猫さんがとてもかわいい……!笑

 

また、伊東さんのご提案で「創作自体を始めたきっかけ」という質問を増やしてみました。

ひとりでやっているので、こういうご提案、とてもありがたいです。

 

今回もぶしつけなお願いにも関わらず、丁寧にインタビューに答えてくださいました。

どうぞお読みください。

 

*インターネットで創作を始めたきっかけはなんですか?

 手っ取り早く場数が踏めるのがSNSで、かつTwitterに関しては学生時代から利用させていただいていたので、「いいね、リツイート」などの数字上の反響が見やすかったというだけですかね。インスタは実は馴染みがなくて、なにがなにやら。
 小説サイトも同様です。なにより「書くだけ」で満足せずに、すぐに数字を振り返り、反省して翌日に活かす。それが身近にできるのがTwitterでした。

 

*創作自体を始めたきっかけはなんですか?

 小さい頃から物語を想像したりつまらない嘘をつくのが好きでした。
 大人になってどんな仕事をしようかと思った時に、やっぱり僕は嘘をついて生きていたいなって思いました。
〝先生〟と呼ばれる仕事の中で、嘘をついて褒められるのは作家だけですからね笑
それってカッコいいなぁって思いました。

 

*創作するうえで心がけていることはなんですか?

‐140文字という短さで鮮やかなオチをつける伊東さんの文章力に憧れています。なにか意識していることがあれば教えてほしいです(紬) 

 そこまで強いこだわりはありませんが、強いて言えば三点。

1.難しい言葉や漢字は使わない。
2.比喩表現は〝本当に必要〟な時だけ。
3.〝どう思ったのか〟ではなく〝なにが起こったのか〟を書く。

ですかね。

 

*どんなときに「楽しい」「書いてて良かった」または「つらい」「もう書くのやめたい」と思いますか? 

 やはり褒められた時です!!笑
 なぜか僕は落ち着いていて静かな人だと思われることがあるのですが、ものすごくおしゃべりですし、ものすごく落ち着きのない人間です。
 なのでリプライなどをいただけた時は、素直に「すげぇ嬉しいなんだこの人好き!!」
って思います。 

 

*書くのをやめたくなったことがある場合、どんなふうに気持ちを立て直しますか?

 書くのをやめようと思ったことはありませんね。めんどくさいとは割と常に思っています。
 書き始めるまでに腰が重いこともしばしばあります。でもやめたい、つらい、と思ったことは一度もありません。

 

*ずばり、この一作には自信がある/我ながら好きという自作を教えてください。

 自信作という意味では、どれも自信があるようでない。僕は面白いと胸を張れるけど他の人が面白いと思うかどうかは分からない。

 という感じなのですが、好き嫌いで言うとやはり一番初めに投稿した作品です。

 個人的に大好きな作品である伊藤計劃氏の『ハーモニー』(小説も映画も好きです)に僕はかなり漠然とした憧れのようなものがあるのですが、その中で、メインキャラクターがこんな台詞を言っています。
「私はね、永遠だと人々が思っているものに不意打ちを与えたい。止まってしまった時間に一撃を喰らわせたい」という台詞です。

 もちろんこれは特殊な世界に生きるキャラクターの心情であり台詞なのですが、我々が生きる現実世界にも同じように「永遠だと人々が思っているもの」ってありますよね?
 僕はそれを常に疑問視して生きてきました。

 そのため僕自身も初めからこのような(今のような)作風になったとも言えます。その初めの一歩がこの作品だったわけです。なので一際思い入れは深いと思います。

 

*最近のおすすめ作品を教えてください(小説から映画まで、なんでもOK)

 Netflix限定の作品なのですが、『ブラックミラー』はものすごくおもしろいですね。
とにかく皮肉でとにかく鋭い。一つの作品は短めなので、よかったら是非見てみてください。

<ご回答、ありがとうございました!>

 

*僭越ながらの紬メモ

・「すぐに数字を振り返ることができる」ことからTwitterを選ばれたんですね。わたしも似たようなことを考えていたので、ちょっと嬉しくなりました。

・「嘘をついて生きていく」、とても惹かれる言葉ですね、このままキャッチコピーになりそう。

・「なにが起こったかを書く」、なんだかとても印象に残りました。

・褒められた時、うれしいですよねえ……! わたしも伊東さんはクールな方なのかなと思っていたので、良い意味で意外でした。

・わたしも、実はだいたい書くときはめんどくさいです(告白)。

伊藤計劃氏の『ハーモニー』はわたしも大好きな作品なので、このご回答はとくに読み込んでしまいました。疑問視するところからなにかが始まる、ということはあるのかもしれない……。

・『ブラックミラー』、評判いいですよね!見るリストに早速追加しました。

【インタビューVol.4】いま子さん、あなたの書く理由を教えてください。

こんばんは、紬です。

 

今回も書き手さんのインタビューをお届けします。

 なんと……、四人目!

 

ふとした思いつきで始まったにもかかわらず、みなさん丁寧に答えていただけて日々感激しております。

いつも本当に、本当にありがとうございます。

 

第四弾、いま子さん。

Twitterで小説を発表されています。

140字で深い世界観を描き切っていて、読むたびに別世界に誘ってくれます。補足ですが、おしゃれなアイコンも大好きな書き手さんです。(笑)

 

今回もぶしつけなお願いにも関わらず、丁寧にインタビューに答えてくださいました。

どうぞお読みください。

 

*創作を始めたきっかけはなんですか?

 私は丁度一年くらい前に、小説を書く事を始めました。しかし、何本か書きましたが一つとして書ききる事は出来ませんでした。キャラクター、背景、ストーリーが頭の中で動いているのに、どうにも言葉で表現仕切れない。そんなもどかしさを抱いていました。
 そんな時に見つけたのが#140字小説です。
 私の頭の中を広げるのではなく、140字に収縮する事で初めて書ききる事が出来て、とても嬉しく思いました。
 後々は、長いお話を書く事に再挑戦したいと思っています。

 

*創作するうえで心がけていることはなんですか?

‐いま子さんの140文字で深い世界観を描ききる文章に憧れています。なにか物語のテーマや言葉選びなど、意識していることがあれば教えてほしいです)(紬) 

 恐縮です……。ありがとうございます!
 紬さんが仰ってくれた様に、世界観を描ききるというのはまさに心がけている点です。私の世界を文字に圧縮して、読み手がその文字を展開することで追体験が出来るような文を書きたいと思っています。
 読者によって私の世界の見え方が違うかもしれませんが、それもまた一興ですね。

 また、読者が分かっているていで書いてしまい、説明不足で意味不明な文になる。という事にならないよう気をつけています。
 具体的には、投稿する前に一度自分の小説から目を離して、他の方の投稿を見たり、本棚の小説をパラパラと見て先入観をリセットします。
 その後にもう一度自分の小説を読むと、客観的に見ることが出来て、伝わっていない部分を修正出来たりするんですよね。
 まぁ、それでも自分の小説を見返すと直したい点がいくつも見つかるのですが(笑)

 

*どんなときに「楽しい」「書いてて良かった」または「つらい」「もう書くのやめたい」と思いますか? 

「楽しい・書いててよかった」と思うときは自分の世界を言葉で表現出来た時ですね。
これだよこれ!と、一人で悦に浸ります。
 それとやっぱり、小説に対して反応があると舞い上がります。ど素人の小説を読んで頂いた上に反応もして下さるとか何なの……? 神様……?

「つらい・もう書くのやめたい」と思ったことは、今の所無いですね。
 ただ、私は普通の社会人なので、平日は仕事が終わってから小説を書くのですが、全然思いつかない時は本当に思いつかなくて。何とか捻り出して完成したのが夜の9時とか。
 そこから晩ごはん作らなきゃってなる時は正直しんどいですね(笑)

 

*書くのをやめたくなったことがある場合、どんなふうに気持ちを立て直しますか?

 書くのをやめたくなったことも無いですね。創作意欲が尽きることも無いです。
 気持ちを立て直すというか、気持ちを維持し続けるという点で言えば、常に物語に触れ続けるという事かなと思います。
 私は小説以外にも、漫画、アニメ、映画といった物を毎日取り込むようにしています。
きっとそれらが私の世界を広げてくれるおかげで、今日も言葉を紡げるのだと思います。

 

*ずばり、この一作には自信がある/我ながら好きという自作を教えてください。

 個人的に好きな作品は「悔悟の味」です。
 幼子の成長の1ページを描けて、一人でニマニマしました。

 

*最近のおすすめ作品を教えてください(小説から映画まで、なんでもOK)

 先日、ずっと気になっていた「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」というアニメを視聴しました。
 数々の登場人物を通して、主人公であるヴァイオレットが成長していく姿に涙が止まりませんでした。
 未視聴の方は一度視聴される事をオススメします!

 

<ご回答、ありがとうございました!>

 

*僭越ながらの紬メモ

・わたしも長い話を書くのがうまくないので「140文字なら書ききることができる」という視点を持たれていて、深く共感しました。わたしもいずれは長いのを書いてみたい。

・「書いたあと、投稿する前にいちどリセットする」、試みていることが同じでうれしくなりました。笑

いちど客観視できるので、よく試しています。

・わたしも普通の社会人組なので、苦労に涙くんでしまいました……!

・やはり書き続けるには物語に触れ続けることも大事なんですね! 改めて実感。

・「悔悟の味」、すてきです……。うっとり。夏の情景が一瞬で目に浮かんできました。

・「ヴァイオレットエヴァーガーデン」、わたしも大好きです。映画たのしみですよね!

【インタビューVol.3】掃き溜めに鶴さん、あなたの書く理由を教えてください。

こんばんは、紬です。

 

今回も書き手さんのインタビューをお届けします。

 

ふとした思いつきで始まったにもかかわらず、みなさん丁寧に答えていただけて日々感激しております。

あらためて、ありがとうございます。

 

第三弾は、掃き溜めに鶴さん。

Twitterで小説を発表されています。

テンポのよい文体と、示唆に富んだ奥行きのある物語がとても好きな書き手さんです。

 

今回もぶしつけなお願いにも関わらず、丁寧にインタビューに答えてくださいました。

どうぞお読みください。

 

*創作を始めたきっかけはなんですか?

 私の場合は、#140字小説 のタグを発見したことがきっかけです。
 もともと創作が好きだったのですが、誰かに見せる勇気も、長い話を書き上げる計画性もなく、ずっとしまいこんでいたんです。でも、このタグでは本当に沢山の方々が楽しそうに創作していて、その魅力が恐怖心に勝ったんです。
 Twitterは字数が少ないため自信がなくても書きやすかったこと、創作初心者だというツイートを何度も見かけたこと、創作サイトに登録するよりも敷居が低く感じたことも、Twitterで創作を始めた理由の一つかもしれません。

 

*創作するうえで心がけていることはなんですか?

‐わたしは掃き溜めに鶴さんの物語のテンポの良さが特に好きなのですが、なにか意識していることがあれば教えてほしいです(紬)

 わぁ!ありがとうございます!
 心がけていると言えるほどの事ではないのですが、一部分だけでもいいので、自分が好きだと思えるようなものを書くようにしています。それができれば、稚拙でもまぁいいかな、と思っています。
 物語のテンポは……まずは好きなように書いてから、目立たせたいところを決めて、他を削るようにしています。でも、思い入れがあるので迷ってしまって……特に140字SSは削る字数が多くなりがちなので、そういった時は書けなかった部分を別の話として独立させる事も多いです。セルフリサイクル。

 

*どんなときに「楽しい」「書いてて良かった」または「つらい」「もう書くのやめたい」と思いますか?

 やっぱり、感想やイイネをもらえた時はすごく嬉しいです。反応が全てではないけれど、励みになりますし、前向きになれる気がします。
 あと、自分が書きたいことを書き切れたときは達成感があって「よっしゃー!」と心の中で叫びます。すごくスッキリするんですよ。

 逆に、思うように書けないときは辛いですね。ど忘れした名前を思い出そうとしている時のように、もやもやとした気持ち悪さがあるんです。
 あと、時間をかけたのに全く進まない(書けない)ときは、ちょっと書くのが嫌になります。この時間があれば何ができただろう、とか考えだすと……。

 

*書くのをやめたくなったことがある場合、どんなふうに気持ちを立て直しますか?

 書きまくります。完成度は気にせず、一所懸命に書くことを第一目標にして、とにかく書いて書いて書きまくり、嫌な気持ちを薄めます。
 それでも駄目なら文字から離れます。テレビを見たり音楽を聞いたり、ゲームをしたり。そうして浮かんできた言葉をメモします。それを続けているうちに、気付けばまた書きたくなっていることが多いです。
 私の場合は、あまり上を見ずに等身大で書くことを心がけると、気持ちを立て直しやすくなる気がします。

 

*ずばり、この一作には自信がある/我ながら好きという自作を教えてください。

 自分で選ぶとなると悩みますね。いいねの数が多かった140字SSは、このお話でした。

 

*最近のおすすめ作品を教えてください(小説から映画まで、なんでもOK)

 私、本当にこういうのが苦手で。勉強不足で申し訳ないです……。
 最近はNHKドキュメント72時間をよく見ています。番組自体は30分くらいの短いものなのですが、内容が濃くて、見入ってしまう事も多いんですよ。なんというか、街ですれ違う人ひとりひとりに悩みや苦しみがあり、人生があるんだと、しみじみ思う番組です。当然といえば当然のことなんですけどね。
 質問とズレた回答になっていたら、すみません。

 

<ご回答、ありがとうございました!>

 

*紬メモ

・「Twitterで創作している方たちは楽しそうだし敷居が低そう」というのもすごくわかります。このインタビューを始めたきっかけに「数あるツールの中でTwitterを選んだのはなぜなんだろう?」みたいなのもあったので、とても勉強になりました。

 

・「一部分だけでもいいので、自分が好きだと思えるようなものを書く」に共感してしまいました。好きなことを続けていくにはとても大切なことなんじゃないかなとわたしは勝手に思っています。

 

・書くのをやめたくなったときに「書きまくる」というのはとても見習いたいです……。わたしは逃避しがちなので。笑

 

・ご紹介いただいた自作、わたしも好きすぎて瞬間的にRTした作品だったのでとても嬉しかったです。初めて読んだとき、すっと情景が目に浮かんできたんです。

 

・おすすめ作品、苦手な質問にまで答えていただいてありがとうございます!

いろんなジャンルの作品を知りたかったので、とてもうれしいです。ドキュメントだからこそしみじみ実感できることってありますよね。