日々紬

なんでもない日常を物語に。

【インタビューVol.6】犬塚我区さん、あなたの書く理由を教えてください。

 こんばんは、紬です。

 

 今回も書き手さんのインタビューをお届けします。ついに6人目……! 

 ここまで続くのも、受けていただく書き手さん、読んでいただいている皆様のおかげです。

 

 ふとした思いつきで始まったこの企画、形式としてはTwitterのDMでまとめて質問をお送りしてるのですが、だんだん「リアルタイムでやってみたい……回答を深掘りしたい……」という欲がでてきました。

 

 さすがにリアルタイムはお相手に申し訳ないので、今回は2段階制。最初にいただいた回答のなかで気になったものをさらに深掘りするというやり方をしてみました。

 

 そんな手間のかかるやり方を引き受けてくださったのは……

 第6弾の犬塚我区さん。

 Twitter・エブリスタで小説を発表されています。

estar.jp

 幻想的で、時には畏怖の念を抱いてしまうような、奥深いところできらりと光る言葉選びをされていて、わたしの目指す世界観を描かれる方です。

 

 また、前回の伊東鮭さんのインタビューでご提案いただいた「創作を始めたきっかけ」もデフォルトの質問に組み込ませていただきました。 ありがとうございます。

 

 今回もぶしつけなお願いにも関わらず、丁寧にインタビューに答えてくださいました。

 どうぞお読みください。

 

*創作を始めたきっかけはなんですか?

 二つありまして。

 一つ目は、まだ書き手と言うより、描いていた学生時代です。中学の授業で自分オリジナル作文を書こう!というのがあったんです。他生徒は取り組もうとしない中、唯一書ききったのが私だけ。

 それを先生が「貴女は絵も描けるから表紙を付けましょう」と最終的に綺麗に綴じて下さいまして。それが凄く心に刻まれて!思えばあれが人生で初めての創作でした。(現在も大切にとってあります)
 二つ目は、それから数年後の旅先にて。頭の中であたためていた鉱物を食べる御話を、突然、書きたくて堪らなくなってしまいまして。その頃は鉱物蒐集にハマっていたんです。旅行先で真夜中だと言うのに、書きたい文章が溢れて止まらないから、兎に角打ち込みました。(笑)
 根底の、始めたきっかけは一つ目ですが、創作的なきっかけは二つ目ですね。

 ‐中学生のころのエピソード、とてもすてきですね! 心に刻まれた1番の理由って、じぶんの作品ができたことへの感動だったのでしょうか?(紬)

 それも勿論ありますね!感動やら達成感やらが、無い混ぜになった気持ち。でも実はこの中学の自分はそう感じてなくて。(苦笑) 「何か出来た、おお……」くらいの気持ちなんです。(笑) 

 数年後、創作を始めて暫く経ってから、ふと思い出すそんな時。文章を打ち込んでる時、とか。「嗚呼、私の原点はあすこだったんだナア」って改めて書いた学生の自分や、その出来た作品や、導いて下さった先生に、しみじみ感じ入るんです。

 実はその先生にもう一度会って「あの時、先生の授業のおかげで書いてます!」ってお礼やお話をしたいのですが、なにぶん先生は当時、新任の女性国語教師。名前は覚えているものの、ご結婚されて苗字も変わったかもしれませんし、今も先生を続けているかすら解りません。

 先生ー、読んでますかー!?

 

*インターネットで創作を始めたきっかけはなんですか?

 今ではもう無いアカウントなのですが、そこで前述に記載した、鉱物を食べる御話をUPして、Twitterのフォロワーの皆様が「続きが読みたい!」と仰って下さったからです。

 その当時、私は完全に見る・読む専門だったので感想も頂けて、嬉しいやら吃驚するやらで、あたふた。そこから徐々に手探りで始めました。

twnovel」や「140字小説」等のタグを見つけた時は、頭に電球が点りましたよ〜(笑)
 

*創作するうえで心がけていることはなんですか?

‐犬塚さんの幻想的で少しさみしいような、畏怖してしまうような世界観がとても好きです。なにか意識していることがあれば教えてほしいです(紬) 

 ありがとうございます。(照) 

 実は私は、下書き無しの一発書きがほぼ全てに共通する事柄なのですが(これを私の中では「短期決戦型」と言っています。笑)スマホに打ち込む際、私の中のパラボラアンテナ、感受性みたいな部分で「この時自分ならどうするか?」を最大限感じ取ります。その瞬間や、書く時の空気感を大事にしていますね。

 そして私自身、作品や呟きを読み返すと「何故こんな良い文章が書けたのだ?」と不思議に思う事が多々ありまして!(汗) 

 完全にその時の自分が「書いた」んですよね。感じ取ったその瞬間、削りたての鉛筆の芯、みたいな感じなんです。普段は丸い芯で「こんなん書けない!」ってなってると言うか。
 それを踏まえると意識している事は、書いて来た作品毎に違うのかもしれません。

 

 -パラボラアンテナもしくは感受性と表現されていますが、そのアンテナはどんなふうに培われてきてのか(もしくは自然と身についたのか)お聞きしたいです。(紬)

  これは忌々しくも、自前ですね。

 このパラボラアンテナのせいで学生時代は大変苦労しました。(苦笑) 電波受信(感受性)が敏感になり過ぎて、感動や気持ちの揺れで、唐突に泣くんです。(汗) 歌やTV、映画に漫画。嬉しくても、兎に角それが涙となって溢れてましたね。

 最近の年齢になって受信感度が落ち着き、やっとアンテナとの付き合い方が解って来ました。

 

*どんなときに「楽しい」「書いてて良かった」または「つらい」「もう書くのやめたい」と思いますか? 

 これはもう、読者様やフォロワー様からファボやRTを貰った時ですね!(勿論、リプライや感想も!)単純な奴でして、そうすると凄まじいくらいやる気に繋がるんです。(笑)嬉しい!よし書くぞ!って笑 

 趣味で写真も撮るのですが、良い写真って、何百枚も撮って、一枚でもあったら本当に幸運なんです。その一枚は明らかに誰が見ても「良い」んですよ。

 書いていて、偶然にもそんな作品になって、それでもまだ書いている時は、もう楽しくて仕方がないですね。 

 

*書くのをやめたくなったことがある場合、どんなふうに気持ちを立て直しますか?

 書く事はやめないだろうけど今は書けないナア、って時がかなり多いです。(苦笑)  

 映画『魔女の宅急便』で後半、画家さんがスランプになった時どうするかと言うのを喋るシーンがあるのですが、正にその通りでした。

「描くのをやめて何もしない」「その内また描きたくなって来るんだよ」

 幼い頃まるで解らなかったその意味を、身をもって今体感しています。楽観的かもしれませんが「また書きたくなる」まで、ゆるっと過ごしますね。本当に不思議なんですが必ず「なって」来るんです。(笑) それまではお休み、完全休業!と思って、書く事以外をやっています。

 家事や掃除、漫画や小説を読んだり。アウトプット(書く)とインプット(休む)を巧く使い分けて、立て直しますね。

 

*ずばり、この一作には自信がある/我ながら好きという自作を教えてください。

 特筆してこの一作!と言うのが、私にはなくて。(汗) 

 自信がない訳ではないし、好きじゃない訳ではない。多分、私は今までずっと書いて来たツイノベや呟きが、平たくみんな好きで、ちょっとそれぞれ自信がある、みたいな感じなんだと思います。

 ひっそり、私がTwitterで呟いたりした140字小説やらを、2018年6月から今まで全てを、日記アプリに全部保存して書き留めているのですが、今回改めて読み返しまして、どこかに掲載すべきなのだろうか? と悩んでいます。(苦笑)

 

*最近のおすすめ作品を教えてください(小説から映画まで、なんでもOK)

 当初、レンタルで観たのですが『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』でしょうか。

 アメリカを代表する絵本作家・生誕100年記念の、ライフスタイルに迫るドキュメンタリー映画です。(※字幕のみ)

 ターシャの生き方だけでなく、心の持ちようが本当に素晴らしく、遂にBlu-rayを購入してしまいました。静かに優しくなりたい時、美しく澄んだ何かを書きたい時。いつも時間を忘れてゆったり観てしまいます。

 

<ご回答、ありがとうございました!>

 

*僭越ながらの紬メモ

・今の自分を生み出してくれた方の回想と呼びかけ、とてもインタビューっぽくていいですね……すてきなエピソードとともに、ありがとうございます。

・「鉱物を食べる御話」、めちゃめちゃ読んでみたいです。わたしの趣味にどはまりしています。

・豊かなパラボラアンテナ、うらやましいかぎりです。ただご本人にとっては「忌々しい」とおっしゃっているように大変なことなんだろうなあ……。

・このインタビューの回答で共通しているのが「リアクションをもらえた時がいちばん嬉しい」という点、とても幸せな気持ちです。(笑)

・全作品、日記アプリに保存されてるんですね! すごい。いつか大放出してほしいです……と勝手に願っています。

ターシャ・テューダーさん、すてきですよねえ。「静かに優しくなりたい時」という表現にもうっとりしました。